ロン・デイヴィスのこと |
ロン・デイヴィスはトロントを拠点に活動する新進のジャズ・ピアニストです.知的なメインストリーム・ジャズを得意とします. ロン・デイヴィスとは,グールドを共通の関心として知り合いました. 1988の年の秋,私が初めてトロントへ行ったとき,彼が自宅のマンションの共有のゲスト・ルームを提供してくれました. 当時の彼は弁護士をしながら,トロント大学大学院でフランス言語学を研究していました.以来,親しくしております(拙著の「あとがき」や,拙訳書の「訳者あとがき」にも彼の名が出てきますが,彼とは頻繁にメールでグールドのテキスト等をめぐって議論をしています.理知的かつ鋭敏な言語感覚をもって,問題解決に導いてくれます). ロン・デイヴィスは,やがてPh.Dを取得し,トロント大学助教授に.その数年後,職を辞して,プロのジャズ・ピアニストに転身しました。弁護士としての仕事もやめ,現在,トロントのジャズ・シーンで最も注目されている新進アーティストのひとりです. ![]() デビュー・アルバム SoloDuoTrio Cullinor Records CD 1123 2001年,デビュー・アルバム SoloDuoTrio をリリース.知的なジャズです.個人的にはトラック4の,ロリ・カレンのヴォーカルによる" I Will" (Lennon/McCartney)が特に見事に思います.原曲とはまったく違う静かで抒情的な世界です(こちらで試聴・購入できます). 2002年にはロリ・カレンをフィーチャーしたセカンド・アルバム So Much をリリース(こちら). ![]() セカンド・アルバム So Much 2004年1月,ロン・デイヴィス・トリオを率いて初来日(ドルー・バーストン [Drew Birston]のベース,テッド・ウォーレン[Ted Warren]のドラム).「カナダと日本――75周年」の記念事業と一環で(カナダ大使館サイトでの紹介はこちら),国内各地で演奏しました. そのうち1月20日(火)には,明治大学にて,レクチャー・コンサート「トロント ジャズ・シーンの現在――カナダ多文化主義における音楽の黄金時代」(JAZZ in Toronto TODAY: A Golden Age of Music and Multiculturalism) を行ない,意義深い催しでした(同大学の藤田直晴教授のご協力で実現しました). 2004年の来日は,サード・アルバム Mungle Music のリリースと同時の来日でした.たいへんポップなアルバムです(試聴・購入はこちら). ![]() サード・アルバム Mungle Music Davinor Records 1321 カバーは,カナダ在住の アーティストでジャズ・ヴァイオリン奏者の サン・ムラタのデザイン. 現在,4枚目のアルバム Shimmering Rhythm のリリースを準備中です. 彼のウェブサイトもぜひご覧ください.こちら. 宮 澤 淳 一 (2005年3月21日) |